個人事業主の節税3本柱|小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金を徹底比較

税金・節税

個人事業主・フリーランスは、会社員と違って退職金も厚生年金もありません。一方で、会社員より節税に使える制度の幅が広く、上手く活用すれば年間100万円超の所得控除を取りつつ、老後資金まで作ることができます。

その中でも特に効果が大きいのが、「小規模企業共済」「iDeCo」「国民年金基金」の3制度。いずれも掛金の全額が所得控除になり、節税と老後準備を同時に進められます。

この記事では、3制度の違いと年収別の最適な組み合わせ方を、筆者自身の実体験を交えて解説します。

個人事業主の節税は所得控除がカギ

個人事業主の所得税・住民税は、次の式で決まります。

課税所得 = 売上 − 経費 − 所得控除

経費は事業に直接関わるものしか計上できませんが、所得控除は事業と直接関係がなくても適用される点が大きな特徴です。中でも「小規模企業共済等掛金控除」と「社会保険料控除」は、節税効果が大きく、かつ将来の備えになる優れた制度です。

会社員の所得控除の上限が限られているのに対して、個人事業主は次の3制度を併用すれば、年間最大165万円程度の所得控除を上乗せできます。所得税率20%+住民税10%なら、年間約50万円の節税効果です。

小規模企業共済とは

小規模企業共済は、個人事業主・小規模企業の経営者向けの「退職金制度」です。中小機構が運営しており、廃業や引退時にまとまった共済金を受け取れます。

主な特徴は次のとおりです。

●掛金は月1,000円〜70,000円で自由に設定

500円単位で増減でき、収入が不安定なフリーランスでも調整しやすい設計です。年間最大84万円の掛金を支払えます。

●掛金全額が所得控除になる

「小規模企業共済等掛金控除」として全額控除されます。年84万円なら、所得税率20%+住民税10%で約25万円の節税になります。

●受取時も退職所得控除が使える

廃業時に一括で受け取れば「退職所得」扱いとなり、退職所得控除(勤続年数で計算)の対象に。受け取り時の税負担も軽減されます。

●低利の貸付制度がある

掛金の範囲内で事業資金を低利で借りられます。事業の運転資金が必要になった時のセーフティネットとしても機能します。

iDeCoとは

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で運用する年金制度です。会社員も加入できますが、個人事業主は掛金の上限が大きく、節税効果も最大級です。

●掛金の上限は月68,000円(年81.6万円)

個人事業主は会社員(月2.3万円)の約3倍の掛金枠があります。国民年金基金との合算で月68,000円が上限です。

●掛金全額が所得控除になる

小規模企業共済と同じ「小規模企業共済等掛金控除」の対象。年81.6万円なら約24万円の節税になります。

●運用益が非課税

通常20.315%課税される運用益が非課税になります。長期投資ほど効果が大きくなります。

●60歳まで原則引き出せない

途中解約ができないため、流動性は低めです。生活防衛資金を別途確保した上で活用するのが基本です。

国民年金基金とは

国民年金基金は、自営業者の老後の年金を上乗せする「2階建て年金」の任意加入制度です。国民年金(強制加入)とは別の制度で、加入する/しないは自分で選べます。会社員の厚生年金に相当する位置づけです。

●掛金の上限は月68,000円(iDeCoとの合算)

iDeCoと共通の枠で月68,000円まで。両方併用する場合は合計で68,000円が上限です。

●掛金全額が社会保険料控除になる

こちらは「社会保険料控除」の対象です。所得控除の効果はiDeCoと同じです。

●年金受取額が確定している

iDeCoが運用次第なのに対して、国民年金基金は加入時に将来の受取額が確定する「確定給付型」です。運用リスクを取りたくない方に向いています。

●インフレに弱い

受取額が確定している反面、将来のインフレで実質価値が目減りするリスクがあります。

3制度の徹底比較

項目 小規模企業共済 iDeCo 国民年金基金
掛金上限 月7万円(年84万円) 月6.8万円(年81.6万円・国年基金と合算) 月6.8万円(iDeCoと合算)
所得控除 小規模企業共済等掛金控除(全額) 小規模企業共済等掛金控除(全額) 社会保険料控除(全額)
受取方式 一括/分割/併用 一括/分割/併用 終身年金または確定年金
運用 固定(予定利率1%) 自分で運用 固定(確定給付)
引出 廃業時/20年以上加入で任意 原則60歳以降 原則65歳以降
向いている人 事業を継続予定の個人事業主 運用で老後資金を増やしたい人 確定額の年金を確保したい人

年収別の最適な活用法

3制度の優先順位は「小規模企業共済 → iDeCo → 国民年金基金」がおすすめです。理由は受取時の柔軟性と運用の自由度です。

事業所得 おすすめ配分 節税効果(目安)
300万円 小規模企業共済:月1〜2万円 年3〜6万円
500万円 小規模企業共済:月3万円
iDeCo:月2万円
年18万円
700万円 小規模企業共済:月5万円
iDeCo:月6.8万円
年42万円
1,000万円以上 小規模企業共済:月7万円(上限)
iDeCo:月6.8万円(上限)
年55万円以上

例えば事業所得600万円台の方なら、小規模企業共済を月3万円・iDeCoを月3万円で運用すると年間の節税効果は約20万円になります。確定申告で還付金として戻ってくるため、節税効果を実感しやすい制度です。

まとめ

この記事のまとめ

  • 個人事業主の節税3本柱は「小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金」
  • 3制度すべて掛金が全額所得控除になる
  • 優先順位は小規模企業共済 → iDeCo → 国民年金基金
  • 3制度フル活用で年間100万円超の所得控除+節税50万円超も可能
  • iDeCoと国民年金基金は月6.8万円の枠を共有するため使い分けが必要

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