日銀の利上げで変動金利が上がり始め、「住宅ローンを借り換えたほうがいいのかな」と気になっている方も多いはずです。
とはいえ、借り換えには費用もかかります。
この記事では、借り換えで得する条件と手順を整理しました。
読み終えるころには、自分が借り換えで得するかどうかを判断する目安がわかります。
住宅ローンの借り換えとは|利上げで関心が高まる
借り換えとは、今のローンを別の金融機関のローンで一括返済し、より条件のよいローンに乗り換えることです。
●金利が下がれば総返済額を減らせる
住宅ローンは金額が大きく期間も長いため、わずかな金利差でも総返済額に大きく効きます。
今より低い金利に乗り換えられれば、返済の負担を軽くできます。
利上げ局面では、変動金利の上昇に備えて固定金利へ乗り換える動きも増えます。
金利が上がる前に、自分のローンを見直しておくと安心です。
●変動金利は2026年に入って上昇が続いている
日銀は2024年3月のマイナス金利解除以降、2025年1月・12月、2026年6月と利上げを重ね、政策金利は1.00%まで引き上げられました。
これに連動して、2026年9月時点の主要銀行の変動金利は0.9〜1.2%台まで上昇しています。
さらに2026年10月には多くの金融機関で0.25%程度の追加引き上げが見込まれており、返済額への反映は2027年1月以降になる見通しです。
●固定金利は長期金利の上昇でさらに大きく上がっている
上がっているのは変動金利だけではありません。長期金利の指標となる10年国債利回りも、2026年9月に約3.0%と、1996年以来およそ30年ぶりの水準まで上昇しました。
これに伴い、主要銀行の10年固定金利は3.6%前後、フラット35は3.46%程度まで上がっています。
変動金利だけでなく固定金利も上昇しているため、借り換えでどちらのタイプを選ぶかは、両方の最新水準を踏まえて判断すると安心です。
●借り換えは早めの判断がカギ
今の変動金利で借りている人は、今後さらに返済額が増える可能性があります。
低いうちに固定金利へ借り換えるか、今の金利のまま様子を見るか、早めに判断しておくと安心です。
先ほどのシミュレーションと同じ考え方で計算すると、0.25%の上昇は月々2,200円前後、総返済額で50万円前後の負担増に相当します。
借り換えで得する3つの目安
借り換えでメリットが出やすいのは、次の3つがそろうときと言われます。
| 条件 | 目安 |
|---|---|
| ローン残高 | 1,000万円以上 |
| 残りの返済期間 | 10年以上 |
| 金利差 | 0.5%以上 |
残高が多く、残りの期間が長いほど、金利差による削減効果は大きくなります。
逆に、残高が少なく完済も近い場合は、効果が出にくくなります。
ただし、これはあくまで入口の目安です。
最終的には次に説明する諸費用も含めて判断します。
●効果が出やすい人・出にくい人
残高が多く残りの期間が長い人、今の金利が高めの人は、借り換えの効果が出やすくなります。
逆に、完済まで数年で残高も少ない人は、削減額より諸費用のほうが大きくなりがちです。
諸費用に注意|「実益」で判断する
借り換えには、まとまった諸費用がかかります。
ここを見落とすと、思ったほど得しないこともあります。
| 主な費用 | 目安 |
|---|---|
| 事務手数料 | 借入額の2.2%前後 |
| 登記費用 | 数万〜十数万円 |
| 印紙税・保証料など | 数万円〜 |
合計で、借り換える残債の2〜3%程度が目安です。
残債2,000万円なら、50万〜60万円ほどかかる計算になります。
●手数料の型で総コストが変わる
事務手数料には、借入額に比例する「定率型」と、金額が決まっている「定額型」があります。
定率型はネット銀行に多く、たとえば借入額2,000万円なら44万円ほどかかります。
●大手銀行は保証料とセットのケースが多い
大手銀行は定額型の事務手数料に保証料を組み合わせるケースが多く見られます。
保証料の一括前払い型は早期完済で一部が戻ることがありますが、定率型の事務手数料は繰り上げ返済をしても戻りません。
将来また借り換えや繰り上げ返済をする可能性があるなら、この違いもふまえて選ぶと安心です。
●「削減額−諸費用」で考える
大切なのは、総返済額の減少額から諸費用を引いた「実益」で判断することです。
たとえば総返済額が100万円減っても、諸費用が60万円かかれば、実益は40万円です。
金利差の大きさだけでなく、この差し引きで考えると失敗しにくくなります。
●シミュレーション例:残高2,000万円・金利差0.5%の場合
残高2,000万円・残り期間20年のローンで、金利が1.0%から0.5%に下がった場合、月々の返済額は約4,400円減り、総返済額では約105万円減る計算になります(元利均等返済の試算)。
この例で諸費用が40万〜60万円かかるとすると、実益は45万〜65万円ほどです。
金利差や残高によって結果は変わるので、自分の条件でも同じように試算してみてください。
●諸費用を借入に含められることも
銀行によっては、諸費用を借入額に上乗せできます。
手元の資金が少なくても借り換えできますが、その分だけ借入が増える点には気をつけましょう。
借り換えの手順|4ステップ
借り換えは、おおむね次の流れで進みます。
●① 今のローンの条件を確認する
まず、現在のローンの残高・残りの期間・金利・金利タイプ(変動か固定か)を確認します。
返済予定表を見れば把握できます。
●② 借り換え先をシミュレーションで比較
候補となる金融機関のシミュレーションで、借り換え後の総返済額と諸費用を試算します。
複数を比べると、実益の差が見えてきます。
●③ 申し込み・審査を受ける
借り換え先に申し込み、審査を受けます。
年収や勤続年数、健康状態などをもとに、改めて審査されます。
●④ 契約して旧ローンを完済
審査が通れば契約し、新しいローンで今のローンを一括返済します。
これで借り換えが完了します。
借り換え前に確認したい注意点
借り換えには、金利差以外にも気をつけたい点があります。
●審査に通らないこともある
借り換えは新規の借り入れと同じく審査があります。
転職して間もない場合や、ほかに借り入れが多い場合は、通らないこともあります。
●団体信用生命保険を組み直す
借り換えでは団信に入り直すため、健康状態によっては加入条件が変わることがあります。
持病がある人は、申し込み前に確認しておくと安心です。
●変動か固定かを選び直す
借り換えは、金利タイプを見直すよい機会です。
今後の金利上昇が不安なら固定、当面の返済額を抑えたいなら変動と、家計に合わせて選びましょう。
●まず今の銀行に相談する手もある
借り換えの前に、今の銀行へ金利の引き下げを相談する方法もあります。
条件変更で金利が下がれば、諸費用をかけずに返済を軽くできることもあります。
●返済期間を縮める選択もできる
借り換えのタイミングで返済期間を短くすると、総返済額をさらに減らせます。
毎月の返済額は上がるので、家計に無理のない範囲で選びましょう。
まとめ
この記事のまとめ
- 借り換えは今のローンを条件のよいローンに乗り換える仕組み
- 得しやすい目安は「残高1,000万円以上・残期間10年以上・金利差0.5%以上」
- 諸費用は残債の2〜3%程度かかる
- 判断は「総返済額の削減額−諸費用」の実益で考える
- 手順は条件確認→比較→審査→契約の4ステップ
- 審査・団信・金利タイプの選び直しにも注意する
借り換えは、金利差だけで飛びつかず、諸費用まで含めた実益で見極めるのがコツです。
まずは返済予定表で、今のローンの残高と金利を確認してみてください。
利上げ局面の家計の備えは日銀利上げで政策金利1%|家計戦略、住まいにかける費用の考え方はマイホーム vs 賃貸もあわせてご覧ください。

