目次
老後資金を準備する方法として名前が挙がる個人年金保険。
いざ加入を考えると「定額型と変額型、結局どっちを選べばいいの?」と迷う方も多いはずです。
将来受け取る金額を確定させて安全に備えたいなら定額型、多少のリスクを取ってでも増やす可能性を重視するなら変額型が向いています。
仕組みの違いから、税制上のメリットまで整理しました。
【早見表】定額型と変額型の違い
まずは主な違いを一覧で整理します。
| 項目 | 定額型 | 変額型 |
|---|---|---|
| 運用方法 | 契約時に決めた予定利率で運用 | 契約者が運用先(特別勘定)を選んで運用 |
| 将来の年金額 | 契約時にあらかじめ確定 | 運用実績によって変動 |
| 元本割れリスク | 途中解約時のみ | 満期時も含めてあり |
| 個人年金保険料控除 | 条件を満たせば対象 | 対象外(一般生命保険料控除の扱い) |
| 向いている人 | 確実に備えたい人 | 増やす可能性を重視したい人 |
税制優遇の有無まで含めると、両者の性格の違いがはっきり見えてきます。
次の章から、それぞれの仕組みを詳しく見ていきます。
定額型の仕組みとメリット・デメリット
個人年金保険は、公的年金だけでは足りない老後資金を自分で上乗せするための私的年金の1つです。
中でも定額型は、契約時に決めた予定利率で保険会社が運用します。
将来受け取れる年金額は、加入した時点であらかじめ確定しているのが最大の特徴です。
●メリット
受け取る金額が確定しているため、老後の生活設計を立てやすい点が魅力です。
運用実績に左右されないので安心感もあります。
満期まで持てば、途中解約さえしなければ元本割れの心配もありません。
●デメリット
物価が大きく上昇した場合、受け取る金額自体は変わらないため、実質的な価値は目減りしてしまいます。
予定利率も、加入する時期の金利水準に左右される点は押さえておきたいところです。
変額型の仕組みとメリット・デメリット
変額型の個人年金保険は、払い込んだ保険料を投資信託などの「特別勘定」で運用します。
運用先は契約者自身が選び、その実績によって将来の年金額や解約返戻金が変動します。
●運用先は特別勘定から選ぶ
変額型では、保険料の運用先を「特別勘定」と呼ばれる複数のファンドから選びます。
国内債券型・外国債券型・国内株式型・外国株式型など、リスクとリターンの異なる特別勘定から選べます。
これらを組み合わせて配分を決める商品が一般的です。
●メリット
運用がうまくいけば、定額型よりも高い年金額を受け取れることも期待できます。
インフレで物価が上昇した局面でも、運用実績次第では実質的な資産価値を維持しやすい面も見逃せません。
●デメリット
運用実績によっては、払い込んだ保険料の総額を下回る「元本割れ」が起こり得ます。
多くの商品で死亡給付金にも最低保証がないため、途中で亡くなった場合の受取額も運用状況に左右されます。
保険関係費用として、契約時・運用中・解約時にそれぞれ費用がかかる点も見落としやすいポイントです。
運用がうまくいっても、こうした費用が積み重なった分だけ手元に残る金額は目減りします。
個人年金保険料控除は定額型だけの特典
●控除額の上限
個人年金保険には、所得税・住民税を軽減できる「個人年金保険料控除」という制度があります。
新制度での上限額は、所得税が年4万円、住民税が年2万8,000円です。
上限に達するために必要な年間保険料は、所得税分で8万円、住民税分で5万6,000円が目安になります。
●税制適格特約の条件
この控除を受けるには「税制適格特約」を付けることが条件です。
年金受取人が契約者本人または配偶者で、被保険者と同一であることが求められます。
保険料の払込期間は10年以上、確定年金・有期年金なら受取開始は60歳以降かつ受取期間10年以上という条件も設けられています。
●実際にいくら減税になるか
生命保険料控除全体では、所得税は年12万円、住民税は年7万円が上限です。
個人年金保険料控除の枠を満額使うと、所得税率10%の人でおおむね年間4,000円前後の減税になります。
住民税とあわせると、さらに数千円程度、税負担を軽くできる計算です。
●変額型は税制適格特約を付けられない
将来の受取額が運用実績で変動する変額型は、この税制適格特約の要件を満たせません。
そのため個人年金保険料控除の対象外となり、通常の「一般生命保険料控除」の枠で扱われます。
控除を重視するなら、定額型を選ぶのが確実です。
受け取り方の種類|終身・確定・有期
年金の受け取り方は、定額型・変額型どちらも契約時に選ぶ「年金の種類」によって変わります。
代表的なのは以下の3つです。
●終身年金
生きているかぎり年金を受け取り続けられるタイプです。
長生きするほど受取総額が増える一方、早く亡くなると総受取額が払込保険料を下回ることもある点には気をつけたいところです。
●確定年金
生死にかかわらず、あらかじめ決めた期間(10年・15年など)だけ受け取れるタイプです。
受取期間中に亡くなった場合は、遺族が残りの期間分を受け取れます。
●有期年金
決めた期間だけ受け取れる点は確定年金と同じですが、被保険者が生きている間しか支払われません。
同じ期間の確定年金より保険料が割安になりやすい代わりに、早く亡くなると受取総額は少なくなります。
どの受け取り方を選ぶかによって、同じ払込保険料でも毎月の年金額や保険料の水準が変わります。
加入前に複数のパターンで見積もりを比較しておくと、家計に合った選び方がしやすくなります。
こんな人に向いている
●定額型が向いている人
老後の生活費を確実に準備したい人。
運用の値動きを気にせず、決まった金額を淡々と積み立てたい人。
個人年金保険料控除で毎年の税負担を抑えたい人にも定額型が向いています。
●変額型が向いている人
既にNISAやiDeCoなどの投資に慣れており、値動きのリスクを許容できる人。
インフレによる実質的な資産価値の目減りを避けたい人には、変額型も選択肢に入ります。
受け取り方まで含めて、家族構成や健康状態に合わせて選ぶと後悔しにくくなります。
まとめ
この記事のまとめ
- 定額型は将来の年金額があらかじめ確定し、老後の計画が立てやすい
- 変額型は運用実績で年金額が変動し、増える可能性も元本割れのリスクもある
- 個人年金保険料控除(所得税上限年4万円・住民税上限年2万8,000円)は定額型だけの特典
- 受け取り方は終身・確定・有期の3種類から選ぶ
- 確実さを重視するなら定額型、増やす可能性を重視するなら変額型が向いている
どちらを選ぶか迷って先延ばしにするより、早く始めるほど老後資金の準備には余裕が生まれます。
まずは公的年金だけでは老後資金がいくら不足しそうか、現状を把握するところから始めてみてください。
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