収入が減って「国民年金の保険料が払えない」と感じたとき、そのまま放置していませんか。2026年度の保険料は月17,920円で、決して軽い負担ではありません。
この記事では、払えないときの正しい対処法を整理しました。読み終えるころには、未納で放置するより免除を申請したほうが得だとわかります。
払えないときは「未納」より「免除申請」
国民年金が払えないとき、いちばん避けたいのは未納のまま放置することです。
●未納と免除はまったく違う
未納のまま2年以上過ぎると、その期間は年金額に反映されず、受給資格期間にも数えられません。万一のときの障害年金や遺族年金も受け取れなくなる恐れがあります。
一方、免除を申請しておけば、その期間も受給資格期間に数えられ、障害年金や遺族年金の対象にもなります。同じ「払わない」でも、結果が大きく変わります。
●老齢年金には10年の受給資格期間が必要
老齢年金を受け取るには、保険料を納めた期間と免除期間を合わせて10年以上が必要です。
免除や猶予の期間も、この10年にしっかり数えられます。未納で放置すると、この期間が積み上がらない点も見逃せません。
免除・猶予・学生特例の種類と所得の目安
保険料を払うのが難しいときの制度は、大きく3つあります。
| 制度 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 免除 | 所得が低い人 | 全額・3/4・半額・1/4の4段階 |
| 納付猶予 | 50歳未満で所得が低い人 | 保険料を先送りできる |
| 学生納付特例 | 学生 | 在学中の保険料を先送りできる |
免除は所得に応じて4段階に分かれ、猶予と学生特例はいったん納付を先送りする仕組みです。
まずは自分がどの制度に当てはまりそうか、次の所得の目安で確認してみてください。
●全額免除の所得の目安
全額免除は、前年の所得が「(扶養親族の数+1)×35万円+32万円」以下が目安です。
たとえば扶養家族のいない単身者なら、前年の所得が67万円以下(給与収入だけなら約122万円以下)が目安になります。
●4分の3・半額・4分の1免除の所得の目安
全額免除以外の3段階にも、それぞれ所得の目安があります。
- 4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
扶養親族等控除額は、扶養する家族の年齢や続柄によって38万円〜63万円の幅があります。正確な金額は、お住まいの年金事務所や市区町村の窓口で確認すると安心です。
●猶予と学生特例は本人の所得で判定
納付猶予と学生納付特例は、世帯主の所得を見ない点が特徴です。親と同居する人や学生でも、本人(と配偶者)の所得が低ければ使えます。
●失業したときは特例免除が使える
退職や失業で収入が途絶えたときは、前年の所得が高くても「失業等による特例免除」を使える場合があります。
離職票や雇用保険の受給資格者証を添えて申請すると、本人の前年所得を除いて審査されます。
免除でも将来の年金に反映される
免除を受けると、将来もらえる年金はどうなるのでしょうか。
●全額免除でも半分は反映される
国の負担分があるため、全額免除の期間も保険料を納めた場合の2分の1が年金額に反映されます。半額免除なら4分の3が反映されます。
未納なら0ですが、免除なら半分は受け取れる計算です。ここが未納との大きな違いです。
●猶予・学生特例は年金額には反映されない
納付猶予と学生納付特例は、受給資格期間には数えられますが、年金額そのものには反映されません。あとで追納すれば、納めた分だけ年金額を増やせます。
●一部免除は残りの納付を忘れずに
半額免除などの一部免除は、残りの保険料を自分で納める必要があります。
残りを納めないと、その月は未納扱いになってしまいます。せっかくの免除が無駄にならないよう、納め忘れに気をつけましょう。
申請方法|さかのぼりと追納
免除や猶予は、申請しなければ受けられません。手続きの要点を押さえておきましょう。
●申請は市区町村の窓口かマイナポータルで
お住まいの市区町村の年金窓口、または年金事務所で申請できます。マイナポータルからの電子申請にも対応しています。
過去にさかのぼっての申請もでき、申請時点の2年1か月前までが対象です。払えない月が続いたときも、あきらめずに相談してみてください。
●追納は10年以内に
免除や猶予を受けた保険料は、10年以内なら後から納める(追納する)ことができます。追納すれば、その期間も満額に近づけられます。
ただし、免除を受けてから3年度目以降に追納すると、当時の保険料に少し加算がつきます。家計に余裕ができたら、早めに追納するとよいでしょう。
追納は、対象期間のうちいちばん古い月分から順番に納める決まりです。
免除期間と猶予・学生特例期間の両方がある場合は、納める順序を年金事務所に相談すると迷いません。
●全額免除なら継続申請が便利
免除の承認は7月から翌年6月までの1年単位で、本来は毎年の申請が必要です。
全額免除や猶予を受けた人は「継続申請」を選んでおくと、翌年以降も自動で審査され、申請の手間が省けます。
2026年10月から育児期間の免除が始まる
2026年10月から、国民年金に新しい免除制度が加わります。
これまでは出産前後の保険料免除(産前産後免除)がありましたが、新たに育児期間の保険料免除が始まります。
自営業やフリーランスなど、国民年金の第1号被保険者が対象です。
●対象になる期間は最大12〜13か月
産前産後免除を受けている実母は、それに続けて子どもが1歳になるまでの9か月間が対象になります。産前産後とあわせると、最大13か月です。
実父や養父母が子どもを育てる場合は、養育を始めた月から1歳の誕生日の前月まで、最大12か月が対象になります。
●所得制限はなく、年金額は満額扱い
この制度に所得制限はありません。会社員などの第2号被保険者やその配偶者(第3号被保険者)は対象外で、自営業やフリーランスなど第1号被保険者向けの制度です。
免除された期間も保険料を納めたときと同じ扱いになり、老齢基礎年金の受給額に満額反映されます。全額免除の期間が2分の1しか反映されないのと比べると、育児期間の免除は手厚い内容です。
免除中でも、月400円の付加保険料は納められます。
対象になりそうな人は、お住まいの年金事務所や市区町村の窓口で早めに相談しておくと安心です。
まとめ
この記事のまとめ
- 払えないときは未納のままにせず、免除や猶予を申請するのが基本
- 免除には全額・3/4・半額・1/4の4段階があり、所得で判定される
- 猶予と学生特例は世帯主の所得を見ず、本人の所得で判定
- 全額免除でも年金額の半分は反映され、未納の0とは大きく違う
- 免除・猶予は10年以内なら追納して満額に近づけられる
- 2026年10月から育児期間の保険料免除が始まる
国民年金は、払えないときほど「放置しない」ことが大切です。まずは前年の所得が免除の目安に当てはまるか、確認するところから始めてみてください。
将来もらえる年金額は年金はいくらもらえる?、自営業の保険料まわりの段取りは自営業・フリーランスが6月にやることもあわせてご覧ください。


