住宅ローン選びの最初の分かれ道、変動金利と固定金利。
金利の低い変動にひかれる一方で、「この先、金利が上がったらどうなるの?」と不安になる方も多いはずです。
変動金利は、今の水準なら返済額を抑えやすい反面、金利が上がったときの増え方に注意が必要です。
金利が上がった場合の返済額を試算し、どんな人にどちらが向くかを整理しました。
変動と固定、今の金利差はどれくらい?
まずは、2026年10月時点の公式の金利水準を並べます。
| 種類 | 金利 | 補足 |
|---|---|---|
| フラット35(全期間固定・21〜35年・融資率9割以下) | 3.830%〜5.840% | 最多金利は3.830%。新機構団信付き |
| 三菱UFJ銀行(変動) | 1.195% | 給与振込などの条件あり。借入額の2.2%の手数料が必要 |
| 三井住友銀行(変動) | 1.525% | WEB申込専用。Oliveアカウントの開設と給与振込指定が前提 |
| みずほ銀行(変動) | 1.275%〜 | 保証料の支払方法などで異なる |
変動金利は1%台前半から半ばで、フラット35は3%台後半です。
金利差は2%以上あり、変動金利の方が当初の返済額を抑えやすい状況。
ただし、変動金利は給与振込などの条件を満たした場合の水準です。
●変動金利は政策金利の影響を受ける
変動金利は、日本銀行の政策金利の影響を受けます。
政策金利は、2026年6月に0.75%から1.0%へ、9月に1.0%から1.25%程度へ引き上げられました。
たとえばPayPay銀行は、2026年10月1日に住宅ローンの基準金利を3.280%から3.530%へ引き上げています。
基準金利から優遇幅を引く方式では、基準金利が上がれば適用金利も上がる仕組みです。
●フラット35は長期金利の影響を受ける
全期間固定のフラット35の場合、目安になるのは10年国債の利回りです。
金利は毎月更新で、適用されるのは申込み時ではなく資金を受け取る時点の金利です。
5年ルールと125%ルールとは
変動金利には、返済額の急な増加をゆるやかにする仕組みがあります。
●5年ルールは返済額が5年ごとの見直し
変動金利は半年ごとに見直されますが、毎月の返済額は5年ごとの見直しになるのが一般的です。
金利が上がっても、5年間は返済額が変わりません。
ただし返済額が同じでも、利息の割合が増えて元本の減りが遅くなります。
●125%ルールは上げ幅の上限
5年後に見直される新しい返済額は、前回の125%までが上限です。
上限を超えた分は、免除されるわけではありません。
利息の返済が優先されて元本が減りにくくなり、先送り分は後の返済に上乗せされます。
返済期間が終わっても未払い利息が残る場合は、一括返済が必要です。
なお、この2つのルールを採用していない金融機関もあります。
契約前に、商品ごとの条件を確認しておきたいところです。
金利が上がると返済額はいくら変わる?
借入額3,000万円・35年・元利均等・ボーナス払いなしで試算しました。
変動金利は当初1.5%で、5年後に1回だけ金利が変わり、以降は同じと仮定しています。
| 5年後以降の金利 | 月々の返済額 | 5年目までとの差 | 総返済額 |
|---|---|---|---|
| 1.5%のまま | 91,855円 | ― | 3,858万円 |
| 2.0%に上昇 | 98,376円 | +6,521円 | 4,093万円 |
| 3.0%に上昇 | 112,212円 | +20,357円 | 4,591万円 |
| 4.0%に上昇 | 127,066円 | +35,211円 | 5,126万円 |
| 5.0%に上昇 | 142,878円 | +51,023円 | 5,695万円 |
| フラット35(3.83%固定) | 129,791円 | ― | 5,451万円 |
金利が3%まで上がった場合、月々の返済額は5年目までより約20,000円の増加です。
4%まで上がると、増加額は約35,000円に広がります。
総返済額がフラット35を上回るのは、5年後の金利が約4.6%を超えて続く場合です。
ただし5%の場合、125%ルールがあれば5年後の返済額は114,819円が上限になります。
差額は消えず、後の返済へ回る形です。
この表は仮定にもとづく試算で、将来の金利を予測したものではありません。
変動が向く人・固定が向く人
●変動金利が向いている人
返済額が数万円増えても家計が回る、収入や貯蓄の余裕がある方には、変動金利が向いています。
繰り上げ返済で元本を早めに減らせる方なら、金利上昇の影響も小さく抑えられるでしょう。
利用者全体では、変動金利を選ぶ人が約8割にのぼるのが現状です。
●繰り上げ返済で増加分を抑える
先ほどの試算で、5年後のローン残高は約2,662万円です。
ここで200万円を繰り上げ返済し、返済期間は変えずに月々の返済額を減らす方法を選んだ場合を計算しました。
金利が4%に上がっても、月々の返済額は127,066円から117,518円へ、約9,500円下がる計算です。
300万円を繰り上げ返済できれば、軽減額は約14,000円になります。
繰り上げ返済の手数料や方式は銀行ごとに異なるため、契約前に確認しておきたい点です。
●固定金利が向いている人
毎月の返済額を一定にして家計を管理したい方なら、固定金利が候補になるでしょう。
子どもの教育費が重なる時期など、支出の山が見えている場合にも心強い選択肢です。
●変動で始めて固定へ切り替える方法
変動金利でスタートして、後から固定へ切り替える方法もあります。
切替手数料は銀行によって異なり、変動期間中は無料としている銀行もあります。
ただし固定金利は、変動金利よりも先に上昇しやすい点に注意です。
切り替えのタイミングは、慎重に見たいところです。
金利以外で比べたいポイント
●借入時の手数料
金利が低くても、借入時に手数料がかかる銀行があります。
三菱UFJ銀行の場合、借入額の2.2%が必要で、3,000万円なら66万円です。
総返済額で比べるときは、この費用も合わせて見ておくと判断しやすいでしょう。
●団体信用生命保険の条件
フラット35は、団信の保険料が金利に含まれています。
民間の銀行では、疾病保障のオプションを付けると金利が上乗せされる商品もあります。
三井住友銀行では、オプションに応じて0.18%〜0.30%の上乗せです。
金利の数字だけでなく、保障の中身まで含めて見比べてみてください。
この記事のまとめ
- 変動金利は1%台前半〜半ば、フラット35は3%台後半で、金利差は2%以上
- 変動金利は返済額が5年ごとに見直され、上げ幅は前回の125%までが一般的
- 125%を超えた分は免除ではなく、後の返済に上乗せされる
- 3,000万円・35年の試算では、5年後に約4.6%を超えて続くと総返済額がフラット35を上回る
- 手数料や団信の条件も銀行ごとに違うため、金利だけでは比べられない
金利は先を読み切れないからこそ、返済額が増えても家計が回るかを先に確かめておくと安心です。
まずは気になる銀行の公式サイトで、借入額と金利を入れて返済額を試算してみてください。
日銀の利上げが家計に与える影響は日銀利上げで政策金利1%|住宅ローン・預金を守る家計戦略も合わせてご覧ください。
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