企業型DCとiDeCo、会社員のための2つの確定拠出年金。
「両方使えるって聞いたけど、実際どうなの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、多くの会社員は条件を満たせば併用できます。
ただしマッチング拠出を使っている場合や、掛金の上限には注意が必要です。
企業型DCとiDeCoの基本的な違い
まずは、2つの制度の役割分担を整理します。
| 項目 | 企業型DC | iDeCo |
|---|---|---|
| 掛金を出す人 | 会社(事業主) | 自分 |
| 加入手続き | 入社時に会社が案内 | 自分で金融機関を選んで申込 |
| 運用商品 | 会社が用意したラインナップから選択 | 金融機関ごとの商品から自分で選択 |
| 手数料 | 会社負担のことが多い | 自己負担 |
●税制優遇はどちらも同じ
どちらも掛金が所得控除になり、運用益も非課税という税制優遇は共通です。
違うのは、掛金を出す人と運用商品を選ぶ主体。
受け取るときも、退職所得控除や公的年金等控除の対象になる点は同じです。
老後資金づくりの手段として、税制面でどちらかが不利になることはありません。
●転職するときは「移換」の手続きが必要
転職するときは、企業型DCの資産をiDeCoや転職先の制度に移す「移換」の手続きが必要です。
手続きを忘れると資産が自動移換され、運用されないまま手数料だけがかかる状態になることがあります。
併用できる条件
●2022年10月の改正で併用が可能に
実は、企業型DC加入者がiDeCoに入ることは、以前は簡単ではありませんでした。
会社の規約に定めがないと、iDeCoに加入できなかったのです。
2022年10月の改正で、その規約がなくても原則iDeCoに加入できるようになりました。
現在では、多くの企業型DC加入者がiDeCoを追加で利用できます。
背景にあるのは、老後資金を自分で準備する人を増やしたいというねらいです。
会社まかせだった年金づくりに、個人の選択肢を広げる方向で制度が見直されてきました。
●マッチング拠出との選択制
企業型DCの「マッチング拠出」とは、会社の掛金に自分で上乗せできる仕組みです。
ただし、これを利用している場合は、iDeCoに同時加入できません。
マッチング拠出とiDeCo、どちらか一方を選ぶ形になります。
●どちらを選ぶといいか
たとえば、会社の事業主掛金が月1.0万円、上限が月2.0万円の会社だとします。
マッチング拠出で自分が上乗せできるのは、最大1.0万円です。
一般的には、iDeCoのほうが金融機関・商品の選択肢が広く、掛金の上限も高めです。
既にマッチング拠出を使っている方も、iDeCoへの切り替えという選択肢があります。
併用する場合の拠出限度額
iDeCo側の掛金の上限は、企業型DCの加入状況次第。
| 加入状況 | iDeCoの上限額 | 合計の上限額 |
|---|---|---|
| 企業型DCのみ | 月2.0万円 | 事業主掛金と合わせて月5.5万円 |
| 企業型DC+DB等 | 月2.0万円 | 事業主掛金等と合わせて月5.5万円 |
●2024年12月の改正で上限が引き上げ
2024年12月の改正で、企業年金(DB等)も併用している方の上限が月1.2万円から2.0万円に引き上げられました。
同じ改正で、加入時に会社からもらう「事業主証明書」の提出も原則不要になっています。
●事業主掛金の額で上限が変わる
会社の事業主掛金が多い方ほど、iDeCo側で使える枠は狭くなる仕組みです。
たとえば事業主掛金が月1.5万円の場合、5.5万円から差し引くと4.0万円です。
iDeCoの上限2.0万円と比べて小さいほう、つまり2.0万円まで拠出できます。
事業主掛金が月4.0万円と多い場合は、5.5万円から差し引くと1.5万円です。
この場合はiDeCo単独の上限2.0万円より少なくなります。
●上限額は今後も見直される見込み
なお、2026年12月にはiDeCoの掛金上限がさらに引き上げられる見込みです。
自分の場合の具体的な上限額は、iDeCoを申し込む金融機関の窓口や会社の担当部署で確認できます。
併用したほうがいい人・そうでない人
●併用が向いている人
掛金の上限まで使い切って、少しでも節税額を増やしたい方には、iDeCoの追加加入が向いています。
企業型DCの運用商品だけでは物足りないと感じている方にもおすすめです。
たとえば事業主掛金が月1.5万円で、iDeCo側の枠2.0万円をまだ使っていない方がいます。
追加加入すると、年間24万円分を新たに所得控除にできます。
●無理に併用しなくてもいい人
既に企業型DCの掛金だけで、老後資金の準備が十分だと感じている方は、無理に併用しなくても問題ありません。
iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、手元の流動性を優先したい方は慎重に考えてみてください。
●手数料や手間も判断材料に
iDeCoには、加入時に2,829円、毎月171円前後の口座管理手数料がかかります。
この上乗せ分は、金融機関によって異なります。
企業型DCは会社が手数料を負担してくれることが多いため、この差も踏まえて判断すると後悔しにくくなります。
おすすめの証券会社2選
iDeCoの掛金を出す金融機関に迷ったら、代表的な2社を目的別に紹介します。
●マネックス証券
口座開設と同時に、無料の「iDeCoポートフォリオ診断」で自分に合う資産配分を確認できます。
掛金の配分に迷っているなら、マネックス証券 iDeCoから始めてみるのもひとつの方法です。
●楽天証券
普段から楽天ポイントや楽天経済圏を使っている方には、楽天証券が向いています。
楽天IDでひもづけておけば、掛金の設定や運用状況をまとめて確認できます。
この記事のまとめ
- 企業型DC加入者は、2022年10月の改正で原則iDeCoに併用加入できるように
- 企業型DCでマッチング拠出を利用している場合は、iDeCoに同時加入できない
- iDeCo側の上限は月2.0万円、事業主掛金等と合わせて月5.5万円まで
- 2024年12月の改正で、DB等併用者の上限が月1.2万円から2.0万円に引き上げ
- 掛金を使い切って節税額を増やしたい人には、iDeCoの追加加入が向いている
企業型DCがない方の掛金上限やiDeCoの始め方はiDeCo完全ガイド|会社員と個人事業主で違う節税効果と始め方もあわせてご覧ください。
NISAとの使い分けに迷う方はiDeCoとNISA、どちらを優先すべきか【目的別に徹底比較】も参考になります。


