老後資金づくりと聞くと「個人年金保険」「養老保険」のどちらを思い浮かべますか。
似た貯蓄型保険なので、「結局どっちがいいの?」と迷う方も多いはずです。
この記事では、2つの保険の仕組みと控除の違いを整理しました。
読み終える頃には、自分の目的にはどちらが合っているか判断できるようになります。
個人年金保険と養老保険は目的が違う
どちらも「保険料を積み立てて、あとでまとまったお金を受け取る」仕組みは共通しています。
ただし、目的とお金の受け取り方が異なります。
●個人年金保険は「老後の年金」づくり
個人年金保険は、契約時に決めた年齢から、年金の形で分割してお金を受け取る保険です。
貯蓄的な性格が強く、老後の生活費を補うことを目的にしています。
●養老保険は「保障と貯蓄」の両立
養老保険は、保険期間中に万一のことがあれば死亡保険金を、満期まで生きていれば同じ金額の満期保険金を受け取れる保険です。
個人年金保険よりも保障重視の設計です。
個人年金保険の仕組みと控除
個人年金保険は、受け取り方や控除の仕組みにいくつか特徴があります。
●受け取り方は年金形式が基本
60歳や65歳など契約時に決めた年齢から、5年・10年・終身などの期間にわたって年金形式で受け取ります。
一括受取に変更できる商品もあります。
●返戻率の目安は110〜120%程度
たとえば30歳から月1万円を30年間積み立てると、払込保険料の総額は360万円になります。
返戻率118%程度の商品なら、60歳から10年の確定年金で受け取った場合、総受取額は約425万円という試算になります。
●個人年金保険料控除が使える
一定の条件(税制適格特約が付いていること)を満たすと、生命保険料控除の中の「個人年金保険料控除」の対象になります。
控除の上限は所得税4万円・住民税2万8,000円です。
この特約がない個人年金保険は、次で説明する「一般生命保険料控除」の扱いになります。
●受け取り方で税金の区分が変わる
年金形式で受け取ると「雑所得」、一括で受け取ると「一時所得」として課税されます。
一時所得には50万円の特別控除があるため、税負担は一括受取のほうが軽くなる仕組みです。
養老保険の仕組みと控除
養老保険にも、個人年金保険とは違う特徴があります。
●満期に近づくほど解約返戻金が増える
養老保険は、加入からの経過年数が長くなるほど解約返戻金が増え、満期が近づくと払込保険料の総額に近づいていきます。
逆に加入から間もない時期に解約すると、解約返戻金が払込保険料の総額を下回り、元本割れすることも珍しくありません。
●近年は予定利率が低めの水準にある
養老保険の利回りのもとになる予定利率は、市場金利の影響を受けます。
低金利が続いた時期に契約した商品ほど、満期保険金が払込保険料をあまり上回らない傾向があります。
●一般生命保険料控除が使える
養老保険は「一般生命保険料控除」の対象で、上限は個人年金保険料控除と同じく所得税4万円・住民税2万8,000円です。
この枠は、個人年金保険料控除とは別の枠として扱われます。
●契約者と受取人の関係で税金の種類が変わる
満期保険金は、契約者本人が受け取れば一時所得です。
契約者以外が受け取ると贈与税の対象になるため、契約時に受取人を誰にするか確認しておくと安心です。
死亡保障の手厚さが大きく違う
2つの保険で、もっとも差が出るのが死亡保障の内容です。
●個人年金保険は払込保険料相当額まで
個人年金保険で受取開始前に亡くなった場合、死亡給付金は払込保険料と同程度の金額にとどまります。
増える性質のものではないので、大きな保障は期待できません。
老後資金づくりを目的にした保険なので、万一のときの保障は最低限と考えておくと理解しやすくなります。
●養老保険は設定した死亡保険金の全額
養老保険は、保険期間中であればいつ亡くなっても、契約時に設定した死亡保険金の全額を受け取れます。
この保障がある分、同じ保険料でも積立に回る割合は個人年金保険より小さくなります。
保険料をどこまで保障に回すか、どこまで積立に回すかという設計思想の違いが、この差に表れています。
併用すると控除枠を広げられる
個人年金保険料控除と一般生命保険料控除は、別々の枠として扱われます。
つまり、税制適格特約付きの個人年金保険と養老保険を合わせて契約すれば、それぞれの控除枠を使い分けられます。
所得税だけで見ると、合計で最大8万円分の所得控除が使える計算です。
ただし生命保険料控除全体には所得税12万円という上限があります。
他の保険(医療保険など)と合わせて入りすぎている場合は、上限を超えていないか確認しておくと安心です。
●個人年金保険が向いている人
老後の生活費を年金の形で確保したい人、既に死亡保障は別の保険で備えている人に向いています。
積立効率を優先したい人にも合っています。
●養老保険が向いている人
貯蓄と同時に、万一のときの死亡保障もまとめて持っておきたい人に向いています。
1つの保険で保障と貯蓄を兼ねたいシンプルさを重視する人に合っています。
まとめ
この記事のまとめ
- 個人年金保険は老後の年金づくり、養老保険は保障と貯蓄の両立が目的
- 個人年金保険は税制適格特約があれば個人年金保険料控除の対象
- 養老保険は一般生命保険料控除の対象で、控除の枠が個人年金保険とは別
- 死亡保障は、個人年金保険が払込保険料相当額、養老保険は設定した全額と大きく違う
- 両方を併用すれば、所得税で最大8万円分の控除枠を使い分けられる
どちらが向いているかは、老後資金づくりを優先するか、万一の保障も合わせて備えたいかで変わります。
まずは自分が既に入っている保険の控除区分を、保険証券で確認するところから始めてみてください。
公的保険を含めた保険全体の見直し方は保険の見直しガイド、生命保険を減らして節約したい方は生命保険の見直しも合わせてご覧ください。


